特性の活かし方

発達障害の子がパニックを起こす原因と予防方法

この記事を書いた人

弦巻 武久 / 発達障害コミュニケーション指導者

「発達障害だとパニックを起こしやすいの?」
「なんとか予防する方法ってないのかな?」
「パニックの原因てどんなこと?」

こんなことでお悩みではありませんか?

発達障害とパニックには相関関係があり、発達障害を抱えているとパニックを起こしがちです。

お子さんがパニックになってしまうと周囲も慌ててしまいますし、何よりお子さん自身とその場にいた人が怪我をしてしまう恐れもあります。

そのため親御さんは常にパニックにならないよう気をくばる必要から、ヘトヘトになってしまいますよね。

そこで今日は、発達障害を抱えるお子さんがパニックを起こす原因と、対策・予防方法についてお伝えしていきます。



お子さんの勉強でお悩みなら、家庭教師のゴーイングの体験レッスンを受けてみませんか?

ゴーイングは、勉強が苦手なお子さんでも『わかる楽しさ』『やればできる』を実感し、短期間で成績アップに導く家庭教師です。
まずは、ゴーイングのホームページで他との違いを比べてみてくださいね。

発達障害を抱えるお子さんがパニックになるとどうなる?

発達障害を抱えるお子さんがパニックになると、何らかの理由によって感情や行動の調整が効かなくなり混乱してしまいます。

混乱と一口にいっても、その場で頭を抱えてしまったり、衝動にあわせて物に当たったりなどさまざまです。

このようなパニックになってしまうと、感情の制御が効かなくなってしまうので周りの大切な人を傷つけてしまう可能性もあります。

ですから親御さんとしては、このパニックを防ぐためにも、原因や起こりやすい発達障害の症状を押さえておきましょう。



そもそもパニックとは?

厚生労働省によるパニックの定義は次の通りです。

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。
このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできないと感じます。

これはあくまでパニック障害の定義であるため、発達障害のお子さんが起こすパニックとは少し異なる点に注意してください。

発達障害のお子さんが起こすパニックとは、自分の感情をうまく表現できず、感情を爆発させ周りに当たってしまう状態や、先ほど解説したような頭が真っ白になることも含まれます。

英語でパニックの意味は、頭が真っ白になったり、物に当たったりといった全部をひっくるめた事象となってしまうので注意しましょう。



パニックの原因

発達障害のパニックの原因は、主に『自分のルーティンから外れてしまった』 『過去のトラウマや嫌なできごとがフラッシュバックした』 等の場合に起こりやすいといわれます。

また、あまりに多くの物事を考えすぎるとパニックを起こしてしまう場合もあります。

これらの原因から、パニックを起こしやすい発達障害が見えてくるはずです。



パニックを起こしやすい発達障害はどれ?

発達障害の種類は次の通りです。

● ADHD(注意欠如・多動性障害)
● ASD(自閉症スペクトラム障害)
● LD(学習障害)

このなかでも、お子さん自身のこだわりから逸脱した行動があるとパニックに陥ってしまうのが、ASDを抱えるお子さんです。

またあまりに多くの物事を考えすぎて、脳内が混乱して頭が真っ白になるパニックを引き起こすのが、ADHDを抱えるお子さんです。

ただし、パニック症状はストレスから逃れるための一種の手段でもあるため、後ほど詳しく解説しますが、無理やり制御するのはやめましょう。



発達障害のASDがパニックを起こす理由

ASDを抱えるお子さんがパニックを起こす理由は、次の通りです。

● 強いこだわりがある
● 一見無意味に見えてもお子さんにとっては重要な行動の反復をしている
● トラウマのフラッシュバックを引き起こしやすい

ASDを抱えたお子さんは、ルーティンから逸脱した行動を取ってしまうと、パニックに陥りやすいと考えられています。

とくにADHDを抱えるお子さんとは違い、パニックには感情の制御ができない癇癪も含まれますが、一種の自己防衛だと考えましょう。

またASDにはフラッシュバックの特性もあるため、トラウマが蘇ったときにもパニックに陥りやすいと考えられます。



発達障害のADHDがパニックを起こす理由

またADHDがパニックを起こす理由は、次の通りです。

● 複数の物事が一気に起こる
● 多動性や衝動性が脳内で物事を複雑化させる

発達障害の中でも、ADHDのパニック症状は少し複雑です。

というのも、ADHDの場合は脳内で物事を深く考えすぎて体調不良に陥ってしまうというようなパニックだからです。

たとえばAちゃんが、「宿題をしなければ成績が落ちてしまう」と考えたとしましょう。

すると最初は宿題と成績のことだけを考えていたのに、徐々にテストの点数や受験のことまで考えてしまうのです。

たった二点のことだけなのに、ADHDの特性が強く出てしまうと、上記のように「頭の中で常時連想ゲーム」がスタートし、どんどん体調が悪くなってしまいます。

ですから、ある程度パニックから回復したら、話を聞いて整理してあげるのが有効な方法です。



発達障害を抱えるお子さんがパニックになった場合の対処法

ここまでASDとADHDに関するパニック症状について詳しく解説してきましたが、実際にパニックに陥った場合にはどのような対処をしていけばいいのでしょうか?

具体的には次の通りです。

● 周りの安全を確保する
● 本人を刺激しない
● 落ち着いてから詰問せずに話を聞く
● 自傷行為は止める

今回の対処法については、ASDを抱えるお子さんを中心に考えていきます。

ただ先ほどもお伝えしたように、ADHDを抱えるお子さんがパニック症状になったら、基本的に話を聞いて整理してあげることを優先してください。

それでは詳細に解説していきます。



周りの安全確保をする

ASDを抱えるお子さんがパニックを起こした場合には、感情の制御が効かず癇癪を起こしてしまいます。

癇癪が起こっている場合には、周りの安全を確保してASDを抱えるお子さん自身が傷つかないように、また親御さんが傷つかないよう危ないものは遠ざけましょう。

感情の起伏が激しくなり、コントロールが効かない状態では、お子さん自身も危険なものを認識できません。

ですから親御さんが率先して安全確保をしてあげてください。



本人を刺激しない

周りの安全を確保できたら、一旦落ち着くまでパニックを見守りましょう。

というのも、ASDを抱えるお子さんのパニック症状は、ストレスを回避するための行動でもあり、いつまでも続くものではありません。

ですから、ある一定期間は自由に癇癪を起こさせて、ストレスのはけ口を確保してあげましょう。

すると自然と落ち着いてきて、話ができる状態になります。



落ち着いてから詰問せずに話を聞く

ASDを抱えるお子さんが落ち着いて話ができる状態になったら、なぜこのような癇癪を起こしてしまったのかを聞き出してください。

もちろん発達段階によっては言葉足らずになる恐れもありますが、話を聞く側の親御さんは詰問をせず、ゆっくりと聞いてあげましょう。

詰問とは「なぜ〇〇したの?」「〇〇してはだめでしょ!」等の怒り口調の質問を指しています。

そもそもASDを抱えるお子さん自身、なぜ感情をコントロールできずに癇癪を起こしてしまっているのかを理解できていないので、詰問をすると余計にストレスがたまってしまいます。

ですので、親御さんは「ASDを抱えているからパニックくらい当然だよね」と気楽に考えておくといいでしょう。



自傷行為は止める

ASDを抱えるお子さんのパニック症状は一旦見守るべきですが、自傷行為を始めてしまったら緊急で止めなければなりません。

自傷行為とは、自らの体を傷つけて、ストレスを抑える方法です。

たとえば、次のような行為は自傷行為に入るため、お子さんの行動を止めましょう。

● 髪の毛を抜く
● 何かに体をぶつける
● 何かしらで体を傷つける

このような行動は一生の傷になってしまう可能性もあるので、親御さんが止めに入ってあげてください。



発達障害を抱えるお子さんのパニックになった場合のNG例

ここまで発達障害を抱えるお子さんのパニックに対処できる方法をお伝えしましたが、対処方法の中にはNGの方法もあります。

具体的には次の通りです。

● 大声で叱責する
● 押さえつける
● 詰問してしまう

それぞれ解説していきます。



大声で叱責する

パニックになったときの対処方法の中でNG例になる一つ目は、大声で叱責することです。

とくにパニックになっている最中に親御さんから、「やめなさい!」などの大声での注意が耳に入ると、余計にパニックが助長されてしまいます。

先ほどもお伝えしましたが、パニック中の刺激はできるだけやめておきましょう。



押さえつける

大声で叱責することと同様ですが、パニック中にお子さんを押さえつけようとするのもNGです。

なぜなら、外からの刺激を受け押さえつけられれば、親御さんとお子さん両方に危害が加わってしまう可能性もあるからです。

仮に自傷行為をしていた場合にのみ、押さえつけてでも止める必要はありますが、基本的にパニック症状が落ち着くまでは、遠くで見守ることを意識しましょう。



詰問してしまう

繰り返しになりますが、落ち着いたあとに詰問することもNGです。

詰問はお子さん自身がわかっていないことを、上から目線で質問してしまうので、ストレスを与えてしまいます。

最悪の場合さらにパニックを起こしますし、トラウマになる恐れもあるので注意しましょう。



発達障害を抱えるお子さんのパニックを防ぐためにできること

ここまではパニックになってしまったときの対処法について解説してきましたが、未然にパニックを防げるのであれば、できるだけ対策してあげたいですよね。

パニックを防ぐために親御さんができることは、以下の通りです。

● パニックになる原因を分析する
● 原因から遠ざける
● 学校には事前に連絡しておく

それぞれ解説していきます。



パニックになる原因を分析する

発達障害を抱えるお子さんのパニックを防ぐためにできることの一つ目は、パニックになる原因を分析することです。

ASDを抱えるお子さんの場合、こだわりが強く日常のルーティーンを邪魔されることが最もストレスになります。

ですので、お子さんが無意識に行なっていることを常日頃から確認し、何がルーティンになっているのかを分析しておきましょう。

そうすると邪魔をしてはいけない行動が明確にわかりますし、邪魔をする原因もわかります。



原因から遠ざける

ASDを抱えるお子さんには邪魔をしてはいけないルーティンがありますが、嫌な思い出やトラウマを思い出させるキッカケもあるはずです。

このようなキッカケも、どのような場面でパニックを起こしてしまうのかを確認し、事前に遠ざけるようにしておきましょう。

もちろん日常のふとしたイベントでも思い出してしまう可能性はありますが、フラッシュバックする確率を落とすだけでも、パニックになる可能性は少なくなります。



学校には事前に連絡しておく

お子さんがASDを抱えている点に関しては学校に連絡をしているはずですが、日常のルーティーンやフラッシュバックしやすいイベントなども、あわせて報告をしておきましょう。

というのも、学校の先生は親御さんほど、お子さんの日常生活にまで目を配れない可能性もあるからです。

もちろん少数のお子さんが通っているだけの学校であれば問題はありませんが、1クラス数十人規模になれば、配慮が行き届かないのは当然と言えます。

ですから親御さんから、先生に配慮してほしい点を前もって報告しておきましょう。



発達障害を抱えるお子さんのパニックは、落ち着いて見守ってあげて

ASDを抱えるお子さんのみならず、ADHDの特性を持つお子さんであってもパニック症状は出てしまいます。

またASDを抱えるお子さんは癇癪が起きやすく、ADHDを抱えるお子さんは、どちらかと言うと頭の中が混乱してパニックになってしまいます。

それぞれのお子さんの特性にあわせて、対策と予防を行っていきましょう。

今回はパニックを起こしたときの対処法や予防方法まで、基礎的なことを確認しましたが、これらを親御さんが知っているだけでも落ち着いて対応できるようになりますよ。

私たちのサイトでは、この他にも様々なお子さんの学習や学校生活に役立つ情報を取り扱っているので、興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

発達障害お役立ちBOOK

この資料でわかること

  • 発達障害の子を伸ばす教育とは?
  • 特性に合わせた具体的な教え方
  • よくある困りごとと対応例 など

発達障害の専門家が監修!お子さんをぐーんと伸ばす接し方を徹底解説

この一冊で、特性ごとの勉強の悩みがスッキリ解消!
教え方に困った時にスグに対応できる!

無料で受けとる
家庭教師のゴーイング発達障害ページバナー

アクセスランキング

ピックアップ