お子さんがあるときから登校まえにぐずるようになった。布団から出てこなかったり、「お腹が痛い」と布団から出てこなかったり…。そんなお子さんを見て、戸惑ったり、心配になったりしていませんか？

ですが、「学校に行きたくない」という気持ちは、どの子にも起こりうる自然な心の動き。誰だって勉強したくない気持ちはありますし、学校に行きたくない日があるのも当然なのですが、親御さんとしてはびっくりして、どうしていいかわからなくなってしまいますよね。

そこでこの記事では、小学生から高校生までの「学校に行きたくない理由」と、親としてできる関わり方について、わかりやすくまとめました。ぜひ、家でのお子さんのサポート方法の参考にしてください。

子どもが「学校に行きたくない」と思う理由【年齢別】

子どもが学校を嫌がる理由は、年齢や成長段階によって変わります。それぞれの背景を知ることが、サポートの第一歩になります。

実は、不登校の当初はサポートのやり方を間違ってしまうと、不登校を長引かせる原因となってしまいます。ですからあらかじめ知識を頭に入れておき、適切なサポートができるようにしておくと落ち着いてサポートすることができます。

小学校低学年（1～3年生）の場合｜まだまだ不安がいっぱい

低学年の子どもたちは、まだ学校という環境に慣れていない子も多いです。
「先生が怖い」「友だちと遊べない」「お母さんと離れるのがさみしい」――そんな理由から、学校に行きたくないと感じることがあります。

この時期は、無理に「がんばれ」と言わず、「そうか、不安だったんだね」と子どもの気持ちに寄り添ってあげることが何より大切です。

【小学校低学年で学校に行きたくない主な原因】
• 学校や先生への不安
• お友だちとの関わりがうまくいかない
• 家族と離れるのがさみしい

【親ができるサポート】
• 「不安だったんだね」と気持ちを受け止める
• 毎日ちょっとしたことでもたくさんほめる
• 朝の見送りを笑顔で明るくする

小学校高学年（4～6年生）の場合｜友達関係や勉強に対する不安

高学年になると、友達との関係が少しずつ複雑になり、勉強や学校生活に対する不安が増えてきます。「みんなと仲良くできない」「テストが怖い」「進学のことが不安」などの理由から、学校に行きたくなくなることがあります。

この年頃になると、自分のことも深く考えられるようになりますから、親御さんは「どうしてそう感じてしまうのか？」を、お子さんと一緒に考えてあげましょう。親御さんと一緒に時間を過ごすことで、お子さんは落ち着いて毎日を過ごせるようになります。

【小学校高学年で学校に行きたくない主な原因】
• 友だち関係が複雑になる
• 勉強に対するプレッシャー
• 自分の将来への不安

【親ができるサポート】
• 「どうしてそう感じるのか」を一緒に考える
• 友達と話しやすい環境を作る
• 成績や進路の話は焦らずに、ゆっくりと進める
• 一緒にいる時間を増やす

中学生の場合｜思春期の心の揺れ動き

中学生になると、心身の変化や思春期特有の心の揺らぎから学校に行きたくない理由が増えます。
「体調が悪い」「周囲と合わせられない」「勉強に対する不安」などから、学校に行くことが怖くなることがあります。

この年頃の子どもへのサポートは、とにかくお子さんに寄り添うことが重要です。無理に学校へ行かせようとせず、「今はゆっくり休もうよ」「学校に行かなくても大丈夫だよ」と積極的に声をかけてあげましょう。

【中学生で学校に行きたくない主な原因】
• 思春期による心の揺れ動き
• 勉強のプレッシャー
• 友達との関係に悩んでいる

【親ができるサポート】
• 子どもの気持ちに共感し、話をしっかり聞く
• 無理に学校に行かせず、心を休ませる時間を作る
• 「大丈夫だよ」と安心感を与える言葉をかける

高校生の場合｜進路や将来への不安

高校生は、進路や将来に対するプレッシャーが強くなり、学校に行きたくない理由が増え、また悩みの内容が深刻になっていきます。
「大学受験のプレッシャー」「友達との関係」「自分の将来に対する不安」などが原因で、学校に行きたくなくなることがあります。

親御さんは、お子さんの不安を少しでも軽くしてあげられるよう、お子さんの悩みに耳を傾け、一緒に解決案や進路を考えてあげるようにしてください。悩みごとはお子さん自身でないと解決できないとしても、お子さんには「あなたはひとりじゃないよ」「いつでもあなたの味方でいるよ」と安心感を与えてあげるようにすると、お子さんの気持ちも落ち着いてきます。

【高校生で学校に行きたくない主な原因】
• 進路に対するプレッシャー
• 友達や周囲との関係の悩み
• 自分に対する不安や劣等感

【親ができるサポート】
• 子どもの進路について焦らずに話し合う
• プレッシャーを感じないようにサポートする
• 自己肯定感を高めるように励ます

発達障害がある子どもの辛さと親御さんのサポート

発達障害の特性を持つ子どもたちは、周囲が思う以上に学校生活に苦しさを感じていることがあります。
集団行動が苦手だったり、教室の音や光に敏感だったり、人との距離感がつかみにくかったり…。そんな毎日の中で、うまくいかない経験が積み重なってしまうと、「もう学校へ行きたくない」と感じてしまいます。

発達障害の子の辛さを、たとえ親御さんであっても理解してあげることは不可能です。ですが、一緒に「どうしたらできるかな？」と、やり方や生活の工夫を考えてあげることはできます。

安心して過ごせる環境を親子で一緒に作りあげていけるよう、お子さんの苦手や嫌なことをじっくりと見極めてあげてください。
ここでは親御さんの知識の足しになるよう、代表的な苦手と親御さんができるサポートのヒントを紹介していきます。

【発達障害がある子どもが感じやすい辛さ】

・集団行動が苦手
・学校生活に常に違和感がある
・感覚過敏があり、教室の音や光、においがつらい
・人との距離感がわからない
・友だちの輪に入れない
・努力してもうまくいかない
・授業の内容が分からなすぎてツライ

発達障害の小学生へのサポート

・朝の支度を一緒にサポートする
ランドセルの中身を確認しながら「今日も楽しみだね」と声をかける
服を一緒に選ぶ

・「行きたくない」という気持ちを否定しない
「そっか、そう感じちゃうよね」と寄り添う
「今日はやめようか？」と気持ちを先取りしてあげる

・先生と定期的に連絡を取る
教室での困りごとなどを発見してもらう
解決案を先生と一緒に考える

・帰宅後は、今日できた小さなこと（例：朝の支度がスムーズだった、あいさつができた）を一緒に喜ぶ

・「無理しなくていいよ」と、早めに休ませる勇気を持つ
→ 朝の見送りでは「がんばれ！」ではなく、「応援してるね！」と声かけしてあげましょう。また「疲れたら帰ってきていいよ」と言ってあげると、子どもは安心して過ごせるようになります。

発達障害の中学生へのサポート

・「どうして学校がイヤなの？」と問い詰めない
・本人が悩みごとを自然に話してくれるのをゆっくり待つ
・勉強よりもリラックスできる時間（趣味、動画鑑賞、ゲームなど）の方を大切にしてあげる

・スクールカウンセラーや、自治体の相談窓口にも親が積極的にアクセスし、情報を集める
→ 親自身が「相談先がある」と知るだけで、子どもに対して安心した声かけができるようになります。

「学校に行きたくない自分はダメ」と思わないような声掛けをしてあげる

不登校の子どもは例外なく、「こんな自分はダメなんだ…」と、自分自身を責めてしまっています。そんな子どもの気持ちを救えるのは、親御さんの「あなたがここにいてくれるだけでうれしい」という気持ちを伝える声かけです。
【お子さんが自分の存在を認められるようになる声掛け例】を紹介しておきます。

・「今までつらかったね。でも、ちゃんと話してくれてうれしいよ」
・「行きたくないって感じるのも、大事な気持ちだよ」
・「あなたはそのままで大切な存在だよ」
・「無理しなくていいよ。休みたいときは休んでいいんだよ」

発達障害の高校生へのサポート

・「学校に行く／行かない」という選択肢をフラットに話し合い、本人の意志を尊重する
・将来への不安が大きい場合は、親子で進路相談会やオープンキャンパスに参加してみる
・「失敗してもまたやり直せるよ」と、選択肢はひとつじゃないことを伝え続ける

・通信制高校、サポート校、フリースクールなどの情報も伝え、無理のない進路を一緒に考える
　→ 「通信制に行く＝負け」ではありません。「自分に合ったペースで学べる場所」だと伝えると、本人の安心感が違います。

・親御さん自身もストレスを抱えすぎず、カウンセリングなどを利用して気持ちを整理する

【学校に行きたくない】発達障害の子どもを持つ親御さんへ

学校に行けないこと、学校がつらいこと、それは「がんばりが足りない」せいではありません。
発達障害のある子どもたちは、誰よりもがんばって、毎日を生きています。
親御さんもまた、日々たくさんの不安と向き合い、精いっぱいサポートしてこられたと思います。
だからどうか、もうこれ以上、自分を責めないでくださいね。

そして、いつでもお子さんにとって一番安心できる存在でいてあげてください。
「自分を丸ごと受け止めてくれる」親御さんがいれば、お子さんはどんな場合でも親御さんのそばで落ち着いた心境に戻ることができるようになります。

「学校に行きたくない」は成長のサイン。「大丈夫だよ」の言葉を届けてあげて

子どもが「学校に行きたくない」と感じるのは、決して悪いことではありません。
むしろ、それだけ自分の気持ちに正直に向き合えている、成長の証でもあります。

今は苦しくても、親御さんがそばで支えていれば、きっとお子さんはまた前を向ける日が来ます。
焦らず、責めず、たくさんの「大丈夫だよ」を届けてあげてください。