注意欠陥/多動性障害

ADHDの子は怒りやすく、キレやすい。怒りの原因と穏やかになれる対処法

この記事を書いた人

弦巻 武久 / 発達障害コミュニケーション指導者

「注意するとキレる」
「思い通りにならないと癇癪を起こす」
「声をかけただけで『うるさい!』って反抗する」

こんなことでお悩みではありませんか?

発達障害の中でも、ADHDの子は怒りやすく、キレやすいと言われています。

怒るお子さんに対してお母さんは「怒っても仕方ないでしょ!?」「うるさいとは何事なの!?」と怒鳴ってしまう場合もあると思います。ですが、それでは物事は進展せず堂々巡りになってしまいます。

そこで今日はADHDの子が怒りやすく、キレやすい原因と対処法について解説していきます。

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ADHDの子がキレやすい原因

ADHD(注意欠如・多動性障害)の子どもがすぐにキレやすい原因は複雑で、子どもによって様々な要素がありますが、一般的な原因を紹介しておきます。

感情を制御できない(脳機能の発達の遅れ)

ADHDの子どもは、脳の一部である前頭前野(前頭前野)の発達が遅れていることがあります。この領域は感情の制御や注意の集中に関与しており、感情のコントロールが難しくなる可能性があります。

※前頭前野は脳の前部に位置を計画する領域で、注意、判断、行動の制御などに関わっています。感情の調整や自制心など、行動をともなう高次の認知機能がこの領域で制御されています。また前頭前野は、特に集中力に影響すると考えられています。

上記を一言でわかりやすく言うと、ADHDの子は、脳の一部の発達の影響で、感情を制御するのが難しいのです。またその影響で集中力が途切れがちになります。

刺激に過敏になり興奮している

ADHDの子どもは、外部の刺激に過敏です。音、光、匂いなどに興奮させられ、イライラしてしまいます。

みんなと同じにやれないイライラが爆発する

ADHDの子どもは、学校生活をみんなと同じようにこなすことが困難な場合が多いです。すると、友だちや先生と間に問題が生じてしまい、ストレスが増え、怒りが爆発してしまう場合があります。

疲れでストレスがたまっている

ADHDの子どもは、通常よりもエネルギーを多く使います。疲れやストレスによって感情のコントロールが難しくなり、イライラや怒りとして表に出てしまいます。

ADHDの子は、これらの原因が相互に影響し合うことで、脳に怒りやすくキレやすい状態にされてしまいます。肝心なのは『本人が自分でコントロールできるような状態ではない』ということ。ですので、叱っても意味がないことを十分に理解してあげてください。

さらに、ADHDの子がキレやすい要因には、実行機能の低下もありますので、紹介しておきます。
※実行機能:高次の認知機能の一部です。これらの機能が十分に発達していると、個々の目標のために計画を立て、組織と関わり、成功することができるようになり

実行機能の低下とは?

実行機能の低下は、ADHDの特徴の一つです。ADHDの子はこれがあるので、計画を立てること、集団の中で上手に立ち回ること、今やっていることの切り替え等ができず、自己コントロール不能になってしまうのです。そしてそのために、感情の適切ができなくなり、怒りっぽくなってしまいます。
これによって、次のような具体的な問題が起こります。

計画能力の低下

やらなければいけない事を実行するには、どんな些細なことでも計画を立てる必要がありますが、ADHDの子は計画がたてられません。

集団の中でうまくやれない

物事を整理し、優先順位をつけることが難しいので、集団や組織の中で上手に立ち回ることができません。

やることの切り替えの困難

今やっていることから、次の活動に切り替えることが難しいです。

時間の管理ができない

時間を適切に管理し、タスクを期限内に完了させることができません。

自己コントロールの低下

衝動的な行動が多くなり、感情のコントロールが難しくなります。

このように、実行機能の低下は、日常生活や学業、仕事など、様々な困難を伴うことがあります。

ADHDの子のキレやすさの対処法

ここまでの解説で、ADHDの子が怒りやすくキレやすいことの原因が理解できたと思いますので、次はその怒りを治めてあげる方法を解説していきます。
お子さんがキレやすくなってしまう原因を特定し、なるべく穏やかな日々を過ごさせてあげましょう。

感情を制御できない(脳機能の発達の遅れ)ことへの対処法

感情の制御が難しく、特に脳機能の発達が遅れていると感じられる場合は、以下の方法を試してみましょう。コツは何度も繰り返し練習していくことです。

感情認識のトレーニング

子どもが自分の感情を正確に認識し、理解できるようになると、感情の制御にも役立ちます。感情認識のトレーニングプログラムやゲームで、感情の表現の仕方や他人の感情を理解するスキルを身につけさせてあげましょう。

リラックステクニック

リラックステクニックや深呼吸、瞑想などの方法を学び、日常的に実践していくと、感情の波を静めるのに役立ちます。また、怒りやストレスも軽減されます。

ストレスの原因を見つける

お子さんのストレスの原因を特定し、ストレス管理の方法や戦略を練りましょう。適度な運動、大好きな趣味を持つこと、質の良い睡眠を取るなどの習慣は、お子さんの感情を安定させます。

規則的な生活スケジュール

予測可能で規則正しい生活スケジュールを作り実行していくと、タスクの計画や切り替えをサポートすることができます。また規則正しい生活を送ると不安を軽減することができるので、感情も安定していきます。

刺激に過敏になり興奮していることへの対処法

環境の調整
静かで穏やかな環境を提供してあげることが重要です。音や光をコントロールし、静かな作業スペースを確保してあげましょう。

みんなと同じにやれないイライラの対処法

ソーシャルスキルトレーニング
社交的なスキルを向上させるために、ソーシャルスキルトレーニングを受けましょう。感情の表現の仕方や、適切なコミュニケーションのやり方、周囲の子とどうしたら協力できるのか?など、方法を学ばせてあげましょう。

疲労とストレスへの対処法

適切な休息
十分な睡眠や休息が取れているか、親御さんは常に確認してあげてください。規則的な睡眠スケジュールを維持し、リラックスするための時間を確保してあげましょう。

ストレス管理技術
ストレスを管理するためのテクニック、深呼吸、瞑想、ヨガなどの方法を学び、実践していきましょう。親子で一緒にやると、より有益です。

健康なライフスタイルを保つ
健康的な食事、適度な運動、十分な水分摂取など、健康なライフスタイルを維持することがストレスの軽減に役立ちます。特に市販の食べ物(お惣菜やお弁当、スナック類、調味料など)に含まれる添加物は、発達障害を悪化させます。親御さんは大変だと思いますが、自然食品の店を利用し、できるだけ手作りの食事やおやつを作ってあげてください。

実行機能の低下への対処法

実行機能を向上させるためのトレーニングプログラムを受けてみましょう。課題を分割し、計画を立てるなどの能力を向上させることができます。

実行機能トレーニングって、どんなことをしたらいいの?

実行機能のトレーニングは、子どもの認知プロセスを強化し、計画立案や判断力など、自己をコントロールするための高次の認知スキルを向上させることができます。以下に、親御さんが自宅でやれる具体的なアプローチの一部を紹介しておきます。

ゲームやアクティビティ

コンピューターゲームやボードゲームを使って、計画、判断、課題の切り替えなどのスキルを強化します。これらのゲームは楽しみながら認知スキルを鍛えることができます。

予行演習とフィードバック

課題のリハーサルを実践することで、実行機能を向上させることが可能です。
課題を段階的に分解し、手順を確認することで、計画力や集団生活のスキルが向上します。その場合は、最後に失敗した箇所を「どうしたらうまくやれるか?」と親子一緒に考えることで、改善点を確認できます。

記憶のトレーニング

記憶力を向上させるトレーニングは、実行機能も向上させることができます。数や情報のセットをゲームなどで練習しながら、記憶スキルを向上させましょう。

タイムマネジメントのトレーニング

タスクやプロジェクトを正しく管理し、期限を守るためのトレーニングを積みましょう。カレンダーやタイマーを利用して、作業時間の開始から終了時間までを自分で管理できるようにしましょう。

課題の切り替えのトレーニング

複数の課題や活動を効果的に継続するトレーニングは、実行機能の一部と言えます。課題を切り替える場合、どうやったら効率的にできるか、その方法を学んでいきましょう。

計画と目標設定

長期的な計画や目標を設定し、段階的にトレーニングを進めていきましょう。目標を具体的に分解し、実行可能なステップに分けて進むことで、目標を達成することができます。

これらの方法は、お子さんの個性に合わせて、親御さんが調整しながらトレーニングを実行していきましょう。

できないことは、できる方法を親子で一緒に考えていこう!

ADHDの子は、脳の機能障害やその特性のため、イライラしやすく、怒りやすい状態に、脳に勝手にされてしまいます。

親御さんに理解して欲しいのは、「本人にはどうしようもない」状態だということ。

ですから怒鳴ったり叱ったりしても、意味がありませんし、大声で叱られたら子どもは委縮して何もできなくなってしまいます。

また、どんな発達障害の特性にも言えることですが、できないこと、苦手なことも、愛情に溢れた環境でリラックスしていれば、「あれ?今日はちゃんとできたね!」とビックリするくらい、子どもは自分の能力を開花させることができるのです。

ですから、できないことに目を向けるより、「やれる方法を一緒に考えていこう」という姿勢で、お子さんと笑いながら成長していきましょう。そうすれば、必ずよい結果がもたらされます。ぜひやってみてください。

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