家庭教師のゴーイング コラム 発達障害 アスペルガー発達障害とワーキングメモリの関係性と特性に合った支援をする方法

発達障害とワーキングメモリの関係性と特性に合った支援をする方法

この記事を書いた人

水巻 晃子 / 家庭教師のゴーイング サポート責任者

「うちの子はワーキングメモリが弱くて」
「暗記が全然ダメなのも仕方ないのかな…」
「うちの子に合った支援の仕方が知りたい」

こんなことでお悩みではありませんか?

ワーキングメモリとは、短期記憶のことを指しています。

しかし厳密にいうと、ワーキングメモリと短期記憶には質的な差があります。

そのためワーキングメモリが弱い子に学習支援するには、厳密に分解して発達障害の類型と照らしあわせる必要があります。

そこで今日は、ワーキングメモリを深く解説し、各発達障害との関連性も確認そていきます。
これを読むと、発達障害ごとの学習支援方法がわかるので、ぜひ最後までお読みください。



発達障害だけに影響があるとは限らない!?ワーキングメモリとは

ワーキングメモリは短期記憶と同一視することもありますが、当記事ではより深く理解してもらうために、次の四種類にわけて解説していきます。

● 言語的短期記憶:音や言葉を聞き覚える力
● 視空間的短期記憶:見たり想像したりしたものを覚える力
● 言語性ワーキングメモリ:音や言葉で聞き覚えたものを処理する力
● 視空間性ワーキングメモリ:見たり想像したりしたものを処理する力

単純な記憶能力と処理能力(ワーキングメモリ)という風に二分割でき、そこから言語もしくは空間に対する認知能力と、さらに二分割できるので、計4種類のワーキングメモリがあるという訳です。

これらの分類からワーキングメモリとは、一般的に数文字から数十文字の言葉を覚える短期記憶と、その記憶を処理する能力と覚えておきましょう。



ワーキングメモリの役割

ワーキングメモリは、『今覚えた短期記憶をすぐに処理できるか?』の、処理速度を指しています。

仮に言語的短期記憶が優れていたとしても、言語性ワーキングメモリが平均以下の能力しかない場合には、「単語を覚えられるけど、紙に書き写すことができない」といったような状況に陥ってしまいます。

一般的に覚えたことが書けないのであれば、記憶できているとは言えないので、短期記憶とワーキングメモリに苦手を抱えているお子さんは、記憶力が弱いと思われてしまう可能性が高いです。

記憶のメカニズムを知っておこう

ある事柄を記憶するとなったときには、どのような経路を辿って長期的に記憶されていくのかというと次の通りです。

1. 感覚記憶:五感から感じ取れる情報
2. 短期記憶:五感から感じ取った情報の中で興味関心があるもの
3. 長期記憶:短期記憶からさらに重要度が増し、何度も繰り返すことで定着したもの

このように、一般的に記憶は三段階にわかれており、感覚記憶から2回取捨選択されて長期記憶に移るので、長期記憶自体が難しいものであると考える必要があります。

長期記憶が難しい点に加えて、発達障害を抱えるお子さんは短期記憶に対する不得意とワーキングメモリに関する不得意があるため、特定の分野を長期記憶に移すのがより一層難しいと考えられます。



長期記憶とワーキングメモリの特性

長期記憶とワーキングメモリの特性も、改めて比較しておきましょう。

● 長期記憶:物事を深く覚えておく記憶
● ワーキングメモリ:短期記憶を処理する能力

このように長期記憶とワーキングメモリ間には、「覚える」と「処理する」という、質的な差がある点には注意しましょう。

ワーキングメモリと短期記憶は混同されがちなため、『記憶領域の不得意をいっているのか』『処理能力の不得意をいっているのか』を意識するのはとても大切です。



発達障害の子はワーキングメモリが苦手って本当?

ここまでワーキングメモリとは何かについて解説してきましたが、実際には発達障害を抱えるお子さんは、どのようなワーキングメモリに不得意を感じているのでしょうか?

発達障害の類型である、

● ADHD(注意欠如・多動性障害)
● ASD(自閉症スペクトラム障害)
● LD(学習障害)

三類型に分けて解説していきます。



ADHDを抱える子のワーキングメモリ特性

ADHDを抱えるお子さんのワーキングメモリー特性は、次の通りです。

● 言語性ワーキングメモリが苦手
● 視空間性ワーキングメモリが苦手

ADHDの特性を持つお子さんは、どちらかというと記憶よりも処理する能力に対して不得意を感じており、指示されたことをすぐに実行できなかったり、片付けが難しかったりします。

そのため本来は短期記憶はできているのですが、記憶からアウトプット(記憶の出し入れや応用力)が苦手であると考えておきましょう。



ASDを抱える子のワーキングメモリ特性

ASDを抱えるお子さんのワーキングメモリ特性は、言語的短期記憶が苦手と言われています。

言語的短期記憶とは、数文字から数十文字程度の文章を覚える、親御さんや先生から言われたことを覚えておく能力を指します。

この能力が低いということは、そもそも処理する能力を発揮する以前の問題になってしまい、言語的活動自体がすべて難しいと感じてしまうはずです。

また、この特性によって、次のようなことが苦手であると考えられます。

● 指示されたことをすぐに忘れてしまう
● 話しかけられても理解ができないから反応が遅れる

もちろん言語的な活動が苦手なので、算数や数学の計算問題には不得意を感じませんが、文章題は問題文自体を理解できない可能性があるため不得意になってしまいます。



LDを抱える子のワーキングメモリ特性

LDには以下の3つに分類できるため、各障害とワーキングメモリの不得意を照らしあわせて確認していきましょう。

【読み障害】
● 言語的短期記憶が苦手
● 言語性ワーキングメモリが苦手



【書き障害】
● 視空間的短期記憶が苦手
● 視空間性ワーキングメモリが苦手



【算数障害】
● 言語性ワーキングメモリが苦手
● 視空間性ワーキングメモリが苦手



このように各障害に対して、ワーキングメモリや短期記憶の苦手が存在しているので、LDを抱えるお子さんは、どのような特性を抱えているかによって柔軟に支援を変えていく必要があります。



発達障害のワーキングメモリ特性を持っていると、どんなことが苦手になるのか?

各発達障害における苦手なワーキングメモリ特性を見てきましたが、結局のところ、どのようなことが苦手なのでしょう?

具体的にお伝えすると次の通りです。

● 短期記憶が苦手になる
● 整理が苦手になる
● フラッシュバックを起こしてしまう可能性がある

それぞれ解説していきます。



短期記憶が苦手になる

どの発達障害にも共通していえるのは、短期記憶が苦手になる点です。

というのも、先ほども解説しましたが「短期記憶」には記憶とワーキングメモリ両者の意味が含まれているからです。

たとえば、〇〇といった単語を覚えたとしても、単語をテストで書けなければ実質的に記憶できている状態とは言いにくいでしょう。

このように短期記憶とその記憶をうまく処理するワーキングメモリは、概念がわかれていても分かりにくいものであり、結局は記憶を使えるかどうかで記憶力は測られやすいといった点を覚えておきましょう。



整理が苦手になる

ADHDを抱えるお子さんは、整理が苦手になる傾向が強いです。

というのも、視空間性ワーキングメモリを利用することが苦手で、目で見る空間に対してどう処理していいかがわからなくなってしまうからです。

またADHDの注意欠如や多動性といった特性も、片付けをしている間に興味が他に移ってしまうので、片付けの苦手を助長してしまいます。

このようにADHDのお子さんは、ワーキングメモリと特性といった両方面から片付けに苦手を抱えていると言えるでしょう。



フラッシュバックを起こしてしまう可能性がある

逆にASDのお子さんは、言語性ワーキングメモリに苦手を感じているだけで、記憶に対して不得意を感じている訳ではありません。

ですがその反面、昔の嫌だったことやトラウマをいつまでも忘れられないといった特性も持ちあわせていることに注意しましょう。

一般的にトラウマを忘れられないことから、フラッシュバックがふとした瞬間に訪れ、パニック症状を起こしてしまいます。

このように発達障害を抱えるお子さんは、得意な分野があったとしても、何かに悩まされる傾向が強いという点を忘れてはいけません。



発達障害を抱えるお子さんへのワーキングメモリに対する学習支援

ここまで発達障害を抱えるお子さんがどのような苦手を抱えているのかについて解説してきましたが、続いてはどのような支援を行っていくべきかを解説します。



各特性を必ず学習する

学習の支援を行なっていく場合には、必ず各発達障害の特性を知っておく必要があります。

たとえば、ADHDのお子さんはワーキングメモリが弱いだけでなく、衝動性や多動性があり、これらの特性に対する支援も必要になるので、その両面から支援しなければ意味がないのです。

発達障害を抱えるお子さんへの学習支援は記憶特性とともに各発達障害が抱える特性への理解が必要になる点を覚えておきましょう。



ADHDを抱える子への支援

ADHDを抱えるお子さんは、ワーキングメモリに関する不得意が顕著なので、記憶そのものが難しいと感じるかもしれません。

そのため、言って聞かせるのではなく、文章ベースで何かを伝えて、いつでもチェックできるようにしてあげるのが最適でしょう。

年次があがってきたら、自ら聞いたことをすぐにメモする等、自分なりのチェックシートも作成できるようにしてください。



ASDを抱える子への支援

ASDを抱えるお子さんは言語による伝達に対して不得意を感じるため、ADHDを抱えるお子さんと同様に、文章ベースで伝えることを意識してください。

ただ、ASDの場合こだわりが強く、言語以外に対する不得意がないため、数学だけなら数学だけとずっと同じ教科を勉強し続ける恐れがあるのと、集中しすぎて脳がパンクしてしまう恐れもあります。

ですから、ある程度自分でペース配分ができるようになるまで、時間管理も学習支援の一環に入ると考えてください。



LDを抱える子への支援

LDを抱えるお子さんへの学習支援は、障害別にお伝えすると次の通りです。

● 読み障害:読み聞かせ
● 書き障害:文字をなぞって書く
● 算数障害:数字と具体的な物を対応させた視覚的学習、算数文章題の図式化

このように各障害によって、対応すべき点は異なってきます。

ただ読み障害と書き障害のように重複する可能性もあるため、特性を見極めて柔軟な対応が求められます。

それに加えて学習障害を抱えている場合には、同学年と同じ水準で学習を進めるのが難しくなるため、根気強い支援が必要です。



ワーキングメモリが発達障害の影響で低いのかな?と思ったら

ここまで各発達障害別の学習支援について解説してきましたが、これらの特性を見極めるためには、短期記憶能力やワーキングメモリが低いと感じた時点で、いくつかのチェックテストの利用を考えてみましょう。

発達障害かどうかを調べるための検査としては、「WISC-Ⅳ」が有名です。

どの発達障害に属するかを明確に判断するテストではありませんが、「言語理解」・「知覚推理」・「処理速度」・「ワーキングメモリ」という4つの指標を分析します。

またIQも同時に数値化するためのもので、知的障害に分類されるのか発達障害に分類されるのかがわかります。

この診断結果をもとにして、不得意な部分と得意な部分を知っていくといいでしょう。

また就学に関する知能検査として、「就学時版田中ビネー知能検査Ⅴ」もあるため、小学校入学前に受けてみるのもおすすめです。

とはいえ、素人判断で検査を受けても専門家からのアドバイスが受けられないので、民間の会社及び精神科もしくは心療内科受診と併用して行ってください。



発達障害とワーキングメモリに関するよくある質問

最後の項目では、発達障害とワーキングメモリに関するよくある質問について回答していきます。

具体的な内容は次の通りです。

質問1 ワーキングメモリが低いことによるデメリット教えてください
質問2 ワーキングメモリが高いとどうなるの?
質問3 ワーキングメモリを鍛える遊びにはどのようなものがあるの?

それぞれ解説していきます。



よくある質問1:ワーキングメモリが低いことによるデメリットを教えてください

ワーキングメモリが低いことによるデメリットは、記憶していても記憶力が低いと認定される点です。

繰り返しになりますが、ワーキングメモリは短期記憶をどのように処理するかの問題であり、直接的にワーキングメモリが低いと記憶が難しいと断定される訳ではありません。

ですが、そもそもテストなどで記憶した単語が書けなければ、記憶力は低いと認定されてしまうでしょう。

記憶力というのは覚える力と思い出す力の両方を指しているので、どちらか一方が欠けていれば記憶力が低いとされてしまいます。



よくある質問2:ワーキングメモリが高いとどうなるの?

逆に、ワーキングメモリが高いからといって記憶力がいいという訳ではありません。

先ほどの例と同様に、記憶の処理がうまくても、そもそも短期記憶が苦手であれば記憶力が良いとはいえませんよね。

記憶力という観点から考えると、短期記憶の能力とワーキングメモリの両方が高いバランスでまとまっていると、記憶力が高くなります。

もちろん記憶の処理能力が高ければ、覚えたことをすぐに実践できる能力があるので、この点はメリットといえるでしょう。



よくある質問3:ワーキングメモリを鍛える遊びにはどのようなものがあるの?

ワーキングメモリを鍛えるための遊びはさまざまありますが、おすすめするのはあとだしジャンケンです。

というのも、後出しジャンケンは体を動かすだけなので、どのような特性を持っているお子さんであっても取り組みが簡単だからです。

ルールは簡単で、親御さんが出した手に必ず勝つか必ず負けるといったルールを付け加えるだけです!

すると、お子さんは親御さんが出した手を判断して自分の手を決めるので、認知能力向上に役立ちます。



発達障害とワーキングメモリの関係性を知り、お子さんにピッタリの支援方法を工夫していこう

ワーキングメモリは、短期記憶と混同されがちですが、基本的には異なるものであるという認識が大切です。

各発達障害で短期記憶とワーキングメモリ特性が異なることを理解し、お子さんに合った学習支援を各ご家庭で工夫していきましょう。

私たちのサイトでは、この他にも様々なお子さんの学習や学校生活に役立つ情報を取り扱っているので、興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

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