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コミュニケーション障害とは?~症状から種類、治療法まで~

この記事を書いた人

水巻 晃子 / 家庭教師のゴーイング サポート責任者

コミュニケーションの苦手な人って多いですよね。

大人の世界でも冗談で「コミュ障なんだよね」と話をしていたりする場面もあると思います。

冗談を言える程度ならいいのですが、コミュニケーションについて真剣に悩んでいる発達障害のお子さんは少なくありません。

そこで今日は、コミュニケーション障害の種類や特徴、改善方法について考えていきたいと思います。



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コミュニケーション障害の種類と特徴

コミュニケーション障害は、人に話しかけるのが苦手、対話が続かないといったものが挙げられると思いますが、実はコミュニケーション障害にも種類があります。

ここでは、種類と特徴、また医学的な視点から診断される点について説明していきます。



ダウナー系非コミュニケーション障害

会議の発表であがってしまったり、初対面の人でなくても自分から話しかけるのが苦手という経験はありませんか?

この状態が常に続くといった、いわゆる『人見知り』と言われる人は、このダウナー系非コミュニケーション障害の可能性は十分にあります。

自分の意見を伝えられず、伝えようと努力をしても自尊心が低いので声が小さく、他の人の声にかき消されてしまう傾向が強いです。



アッパー系コミュニケーション障害

アッパーと言われているくらいなので、パニックからコミュニケーション障害を起こしているというのは名前から理解できますね。

アッパー系コミュニケーション障害は、相手に伝えたい内容を、キャッチボールをしながらではなく、一方的に話してしまう傾向が強くあります。

口数が多く、おしゃべりが好きなので、本人も周りの人も、コミュニケーション障害というのに気付いていないケースがほとんどですし、今、自分がコミュニケーションをうまくできていないというのにも気付けません。

しかし、空気を読めず、相手に気を遣うといったビジネスマナーがとれず、周りからは自己中心的といった印象を受けられがちです。



医学的な分類として扱うコミュニケーション障害

ダウナー系非コミュニケーション障害や、アッパー系コミュニケーション障害は医学的な分類として扱われているコミュニケーション障害ではなく、ネットスラングとしてのコミュニケーション障害になります。

医学的なコミュニケーション障害は、DSM-5(精神障害の診断と統計の手引き)を基に分類され、病院できちんとした診断を受ける形となります。

コミュニケーション障害は、単独の障害ではなく、自閉症や精神疾患といった背景が隠れている可能性が高かく、二次障害として出現する頻度が高いといえます。



言語障害

赤ちゃんは言葉の習得として、一語から二語となり、文章をつなげ対話をする訓練をしていきます。

しかし、コミュニケーション障害のひとつである言語障害は、言葉の習得や、文章をつなげて話をするといった能力が弱いため、幼少期の頃から言葉が出るのが遅いといった特性として表れます。

人が苦手ではなく、言葉が出てこない結果、コミュニケーションに勇気が持てず、さらに状況は悪化していくケースもあります。



語音障害

言語の習得や言語に対する理解はできているのにかかわらず、口に出すのが難しい状態が続くのが語音障害といいます。

お子さん自身も言葉に出せないのが苦しく、人との意思疎通が制限されるので、周囲との関係にも支障が出やすくなってしまいます。

しかし、この語音障害は他のコミュニケーション障害と比べ、治療により改善するケースが多いので、早期の治療介入によって、お子さんの負担は最小限に抑えられ可能性が高いと言われています。



吃音症

「こ、こ、こんにちは。」や「ど、ど、どうしました。」といったように、言葉のスタートが上手にできないドモリといった症状や、同じ音節を繰り返したりする障害を吃音症といいます。

緊張したときに、吃音症を発したりする人も多く、コミュニケーション障害と認定されていない人でも、こういった症状が現れている人は多いです。

また、言葉を上手く発せない結果、遠回しな言い方となり、相手に伝えたい内容が伝わらないといった困難もあります。

1番残念なのは、本人は一生懸命言葉を発しようとしているのに関わらず、周りから理解が得られず、冷やかしが目立つといった傾向があるのも事実です。



社会的コミュニケーション症

「体育館で大きな声を出してはいけない」等、冗談を言っても、すべて忠実に受取ってしまう。

こういった、状況に応じて判断ができない障害を、社会的コミュニケーション症と言います。

その場に適した会話はできなくても、言葉の意味自体はきちんと理解ができているので、周りが理解を示せば特別問題はおきませんが、冗談を本気ととらえたりするため、周りの人たちは慎重に対話をしなければなりません。



特定不能のコミュニケーション障害

確実にコミュニケーション障害という診断名がつくほど、コミュニケーションに困り感があるにも関わらず、どの疾患基準にも当てはまらないコミュニケーション障害が存在します。

こういったケースは、特定不能のコミュニケーション障害と診断します。

特定不能のコミュニケーション障害と言われるので、疾患として認定されないのではないかと不安に思う人もいるかもしれませんが、この特定不能のコミュニケーション障害はきちんとDSM-5で定められている障害となっています。

そのため、発達障害や精神障害の手帳の申請といった場合でも、主訴として認められています。



コミュニケーション障害の原因と治療方法

お子さんがコミュニケーション障害と診断された場合、その診断よりも、コミュニケーション障害になった原因や治療方法が気になるのは当然ですよね。

次は、お子さんの生活が少しでも楽になるように、コミュニケーション障害の原因と治療方法について考えてみましょう。



コミュニケーション障害の原因

コミュニケーション障害の明確な原因というのは、残念ながら判明されていません。

遺伝の面や、精神的な面を指摘されることが多いですが、遺伝と言われる面では家族に自閉症スペクトラムやコミュニケーション障害がある場合が多いです。

自閉症スペクトラムやコミュニケーション障害の家族がいれば、お子さん自身もコミュニケーションの練習をする場面が少なくなってしまいます。

また、お子さん自身が周りとコミュニケーションをうまく取れなかったとしても、親御さんが気付いてあげられないというリスクが出てくるのです。

精神的な面での影響は、友人関係のトラブルやいじめが原因で自分に自信が持てず、人前での発表で失敗した結果などで、言葉が出にくくなったりする要因があげられています。



コミュニケーション障害の治療方法

たとえば、歯が痛いといった場合、虫歯であれば、その歯を削り治療をすれば、虫歯は完治します。

このように原因がはっきりしているものに関しての治療法は存在しますが、残念ながらコミュニケーション障害を治療する特効薬はありません。

それでは、コミュニケーション障害と診断されたお子さんはどうすればいいのでしょうか?

治療方法が合うお子さんと合わないお子さんが存在しますが、ここでは一般的に病院で用いられる治療方法について紹介します。



訓練による治療

コミュニケーションの面において標準より劣っている結果、コミュニケーション障害と診断されるのであれば、その能力を高める必要があります。

療育に通うお子さんであれば、リハビリとしてコミュニケーションの訓練を受けられます。

具体的には、読書をする際に声に出して読む、計算問題を復唱するといった、言葉に出すといった方法から、場面に応じたコミュニケーションの取り方について練習していきます。

コミュニケーション障害は発達の問題だけではなく、社会的要因で起因される場合も多く、訓練して自分自身に自信を持てるようになることで改善していく場合も多いです。



コミュニケーション障害を疑ったときの相談先

お子さんがコミュニケーション障害かもしれないと感じたとき、親御さんひとりでは、診断もできませんし、今後どうしていいかわかりませんよね。

そんなときは、ひとりで悩まず、第三者を頼るようにしましょう。

お子さんのコミュニケーション障害を疑った際に、頼れる場所を紹介していきたいと思います。



精神保健福祉センター

保健所など地域によって呼び方は異なるかもしれませんが、精神科医、臨床心理士、保健師といったこころのエキスパートが在職しています。

お子さんのコミュニケーションの面だけではなく、発達の面、こころの面、多方面から相談ができ、親御さんが今後どうすべきかといった相談もできます。

ここから医療機関を紹介してもらい、受診へつながるケースも少なくありません。



医療機関

コミュニケーション障害の治療となった場合は、療育に行くにしても、医療機関を受診していなければ適切な治療方法がわかりません。

お子さんがコミュニケーション障害を患っているかもしれないと感じたときは、心療内科、精神科、発達小児外来を受診しましょう。

コミュニケーション障害の専門医は心療内科や精神科となりますが、お子さんの場合、発達障害の影響や、発達段階に起きる二次障害の可能性もあります。

また、精神科や心療内科は敷居が高いといった親御さんもいるはずです。

発達小児外来を受診後、必要があれば心療内科や精神科といった選択をとってみると良いかもしれません。



療育センターや児童相談所

療育手帳の発行や、お子さんの状況に合わせて検査をする療育センター、児童相談所は、多くの専門家がいます。

お子さんのコミュニケーション障害の裏に隠れている発達の遅れを見付けてくれることもありますし、あるいは親御さん自身が気になっている点について相談すると、解決の糸口が見つかる可能性もあります。

また、療育センターでは作業療法士によるリハビリも実施しています。

コミュニケーション障害を解消させていくために、リハビリが必要となった場合、他の医療機関を探すのではなく、継続して療育センターへ通うこともできるのです。

現代は児童相談所は、虐待関連を相談する場所という風に認識されてしまっていますが、これは大きな間違いです。

医師や心理司も在籍しているので、お子さんの育成問題や、発達の問題も気軽に相談ができます。



専門家の言うことも、ひとつの意見にすぎません!

ここで一つ注意点があります。専門家の人たちの言うことは、絶対ではありませんし、必ずしも正しい訳ではありません。どんな意見も一時保留にしておいて、「本当にそうかな?」を、ご家族の方が時間をかけて見極めてあげるようにしてください。どんなに偉い人の意見でも鵜吞みにせず、ご家族の方が自分で調べていく姿勢が一番大切です。



コミュニケーション障害のお子さんへの接し方

お子さんは一生懸命伝えようとするのに、お子さんのコミュニケーション障害の症状が邪魔をして、相手にうまく伝わらない。

親御さんもお子さんの気持ちを受け取りたいのに、伝わらないもどかしさでイライラしてしまうときもあるかもしれません。

コミュニケーション障害のお子さんの接し方を間違うと、お子さんの症状はどんどん悪化していきます。

この項目では、コミュニケーション障害のお子さんに対する接し方について考えてみましょう。



お子さんへの接し方①:否定しない

お子さんは親御さんに一生懸命伝えようとしているのに、それを正面から否定されたらどうでしょうか?

お子さんはもっと自信をなくし、人に伝えるという行動がもっと苦しいものとなります。

お子さんのコミュニケーション障害を少しでも改善させ、楽にコミュニケーションをとって欲しいと思うかもしれませんが、真正面から否定するのは絶対に止めましょう。

お子さんに否定をするのではなく、お子さんの様子を見ながら「〇〇って伝えたらわかりやすいよ」と丁寧に伝え方を教えたり、相手に伝えられた点を十分に褒めてあげましょう。

自己肯定感を高めれば、お子さんはコミュニケーションに自信が持てます。

コミュニケーションに自信が持てれば、もっと言葉にしてみようと考えるので、多くの言葉を出す練習になります。

また、お子さんが出した言葉を正しくオウム返ししてあげると、お子さんに意識付けができます。
ただ言い方次第ではお子さんを傷つけてしまう場合があるので、これはあくまで言葉の練習として復唱させてあげてください。



お子さんへの接し方②:理解しやすく伝える

コミュニケーション能力を伸ばすひとつの手法として、お子さん自身が様々な言葉を覚えなければなりません。

大人の世界でも、人にわかりやすく伝えてくれる人もいれば、回りくどく、説明の下手な人も存在しますよね。

お子さんのコミュニケーション障害を少しでも改善させる話し方をするためには、親御さんもわかりやすく伝えなければいけません。

わかりやすく伝える理由は二つあります。

●お子さん自身が理解できる言葉で伝え、お子さんのコミュニケーションの不安を消す

●お子さんも上手に人に伝えられる言葉を覚え、練習できる

お子さんがなかなか理解できないような場合は、こちらの話し方が悪いと気づき、話し方を工夫するようにしてみてくださいね。



お子さんの特性に合わせたコミュニケーションにする

大人の世界でも、普段のコミュニケーションはできるのに、会議では上手に伝えられない人がいますよね。

このように、コミュニケーションの苦手さには種類が存在します。
それは、お子さんも一緒です。

たとえば、大人数でのコミュニケーションを苦手とするお子さんもいれば、比喩を苦手とするお子さんも存在します。

お子さんの特性に合わせ、コミュニケーションの方法を変えるだけで、お子さんの負担は軽減していきます。

また、お子さんの苦手分野を理解すれば、お子さんのコミュニケーションの訓練の近道になるのです。

お子さんが苦手とするコミュニケーションは何かを理解し、できるだけ、お子さんに合わせたコミュニケーション方法をとるようにしましょう。



伝わらない場合は、大人の言い方、伝え方を工夫していくことで、コミュニケーション障害は改善していきます!

コミュニケーション障害には明確な原因というのが存在しません。

ですから明確な治療方法も存在しませんが、療育やリハビリを通し、コミュニケーション障害が軽減していく可能性は十分に残されています。

日常のコミュニケーションの方法を変化させるだけでも、お子さんのコミュニケーション能力はグンと伸びていくのは、ご家族の方がよくご存じだと思います。

伝わらない場合は、大人の言い方が悪い。

この考えを徹底するだけで、お子さんとご家族の方の悩みは、ずいぶん減っていくはずです。

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