甘え依存型の不登校を解決する方法

「不登校って甘えじゃないの?」
「朝、起きられないだけで不登校?」
「もういいかげんにして!」
このようなことでお悩みではありませんか?
お子さんが不登校になりかけの時、親御さんはまず最初に「甘えてるんじゃないの?」と感じてしまうのではないでしょうか?
ですが、不登校はあくまで結果であって、それまでに至る過程には、『周りの環境』や『学校内での様々な出来事』など、甘えだけではない要因が隠されています。
そこで今日は、不登校は甘えなのかといった問題について解説し、仮に甘えが問題になっていた場合の解決方法をお伝えしていきます。
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不登校は甘えだけが問題ではない
不登校はお子さんの「甘え」が問題だとする論調も見られますが、決して甘えだけが問題ではありません。
たしかに甘え型依存の不登校という症例はありますが、昨今では学校側の問題も表面化してきましたし、発達障害も大きく取り上げられるようになってきて、不登校の問題は複雑化しています。
そのため「不登校=甘え」といった考えは、昨今はあまり聞かれなくなっています。
本質的に、不登校の色々な要因の1つに「甘え」が入っていると考えたほうが、お子さんの不登校問題を根本的に解決するのに役立つことを知ってください。
不登校が甘えと考えられる理由
では、なぜ『不登校は甘え』と考えられてしまっていたのかというと、次の理由があります。
● 親御さんの過干渉・過保護によって判断能力が育っていないから
● 頑張ろうという気持ちが薄れていると考えられるから
● 日本には自己責任で解決するという考えがあるから
それぞれ解説していきます。
親御さんの過干渉・過保護によって判断能力が育っていないから
不登校が甘えと考えられる理由の一つ目に、親御さんの過干渉や過保護によって判断能力が育っておらず、周りから見てみると、お子さんが親御さんに依存しているように見えるからです。
お子さんが親御さんに直接伝えることはありませんが、友人同士の会話で「あの子の親って過保護だよね」という話は、塾や家庭教師の休み時間によく聞きます。
このように親御さんが良かれと思ってお子さんをかばってしまえば、甘え型の不登校であると周囲から思われてしまう恐れがあります。
頑張ろうという気持ちが薄れていると考えられるから
また、日本人とアメリカには、「頑張ればなんとかなる」と考え方があります(ほかの諸国では依然として身分制度が残っており、身分で将来が決まってしまう場合があります)。
たしかに「頑張ればなんとかなる」といった考え方は真実である側面もありますが、もう少し踏み込んで考えてみると「『自分自身が頑張りたいと思ったら』、頑張ればなんとかなる」という言葉のほうが適切です。
たとえば、「〇〇の学校に行きたいから頑張る」という風に、お子さんの内心から出てくるモチベーションに従うなら、お子さんは努力を自然とできるのですが、「頑張れ」と言われてやる気を出せるほど、人間は単純にできていません。
ですから、仮に親御さんがこの「頑張ればなんとかなる精神」を持っていたとしても、お子さんにはお子さんの感じ方があるので、必要以上の負荷を掛けてしまう恐れもあるので注意してください。
日本には自己責任で解決するという考えがあるから
先ほどお伝えした内容とも似ているのですが、自己責任で解決する風潮は、まだまだ日本でも根強いです。
それは日本人の美徳であり、決して間違ってはいませんが、不登校になってしまった子は自分で解決できない深刻な問題を多数抱えているのです。
さらに、精神障害や学校で嫌なことがあったとしても、克服するのが当たり前だと考える大人も多数いるのが事実です。
ただし、昨今のイジメ問題などの報道も相まって、不登校はお子さん自身の責任ではなく、学校や親御さんを取り巻く環境の責任である点に目を向け始められています。
ですから、親御さん自身も不登校を「甘え」だけが問題だと考えるのではなく、背景には学校での嫌なことやイジメ、発達障害や精神障害など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていると知っておきましょう。
不登校の甘えをなくし、自己責任で解決しようとすると起こるこ
と
繰り返し不登校の背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っているという点についてお伝えしてきました。
仮にこの複雑に絡み合った要因を、「自己責任」という言葉だけで片付けてしまうと、どのようなことが起こってしまうのでしょうか?
具体的には次のような問題が起こります。
● 愛着障害が克服できずアダルトチルドレンになる
● いじめがエスカレートして命に関わる危険性がある
● 精神障害が悪化して立てなくなる
それぞれ解説していきます。
愛着障害が克服できずアダルトチルドレンになる
登校しぶりや登校拒否、そして不登校には愛着障害といった側面も考えられます。
というのも、家から離れると親御さんがどこかに行ってしまうのではないかと考え、お子さんが学校に行く勇気がわかず、不登校になってしまう恐れもあるからです。
愛着障害は、親御さんや家庭環境によってお子さんが十分な愛情を親御さんから受け取れなかったという背景から引き起こってしまう障害です。
仮にこの障害がそのまま続いてしまうと、大人になってからも他人に依存しなければ生きていけないアダルトチルドレンになる恐れもあります。
ということは、愛着障害を、学校に通っている間にきちんと克服しておく必要があるということです。
その克服のため、親子でスキンシップを取る、遊びに行く等、学校に期間でしかできないことを積極的に行いましょう。
不登校の要因に愛着障害があるのであれば、思い切って親子間で時間を取り、愛情を育む期間にする必要があります。
イジメがエスカレートして命に関わる危険性がある
次に自己責任が問題になってくるのは、イジメをお子さんが受けているときです。
イジメられている状態は、人間にとってプライドが傷つけられていますし、大きな問題に発展しがちなので、お子さんの口から学校に行きたくない理由としてあげられることは少ないです。
そのため、仮にイジメを受けているという理由も聞き出せていないのに、親御さんが「頑張って登校しなさい」といってしまうと…どうなるでしょうか?
イジメがよりエスカレートしてしまう危険性もあります。
昨今ではイジメ問題で自ら命を断ってしまう悲しい事例は数えきれないほどありますし、イジメられた相手から暴行を受け亡くなってしまう子どももいます。
このような状況にお子さんが巻き込まれているかもしれないと思うと、安易に「頑張って学校に行きなさい」という言葉がどんなに危険なことかわかります。
精神障害が悪化して立てなくなる
学校に行きたくない要因を完全に克服できていないのに、無理に学校に登校させようとすると、ストレスが増えてしまいます。
ストレスは万病のもとであり、負荷が体に掛かり続けると体調不良から精神障害へと発展します。
精神障害というと、うつ病や統合失調症、不眠症などがあり、場合によっては入院し、その時の薬の過剰投与で寝たきりになってしまう恐れもあります(精神科の治療とは強い薬で意識を朦朧とさせることです)。
もちろん適度なストレス状態にあるほうが人間は成長できますが、イジメを受けているといった過度なストレス状態では、逆に無気力になってしまいます。
ですからストレス要因を完全に取り除くまで、学校への登校は控え、自宅学習を続けるといった選択肢も考えてみてください。
甘えが少なからず不登校に関係することもある
不登校の要因が複雑に絡み合っていることを考え、いくつかのストレス要因を取り除くと、子さんの「甘え」も要因になっていると気づく・診断される場合もあります。
たとえば、『宿題が終わっていないから学校に行かない』、お子さん自身が友達に問題を引き起こしているのに「私は悪くない」と主張する等の「甘え」も考えられます。
不登校の問題は複雑で「甘え」だから「自己責任」で解決しなさいと断言することは良くないのですが、「甘えをまったく取り除かない」のも問題です。
そのため次の項目からは、どのようにして甘えを取り除いていくのかを解説していきます。
甘え型依存の不登校の特徴
では甘えを取り除くファーストステップとして、甘え型依存の不登校の特徴を見ていきましょう。
具体的な特徴は次の通りです。
● 他人任せにしやすい
● 自立していない
● 我慢できない性質がある
● ナイーブで傷つきやすい
それぞれ解説していきます。
他人任せにしやすい
甘え方依存不登校の特徴の一つ目は、他人任せにしやすいお子さんです。
他人任せにしやすいというのは、解決を親御さんに依存すると言い換えてもいいでしょう。
たとえば、宿題をやっていないから学校を休むといった言動が以前からあった場合には、注意が必要です。
これは宿題をやっていないから先生に怒られるかもしれないという事態を、学校を休むという親御さんにしかできないことに頼って解決しているのと同じです。
このような自身が引き起こした問題を他人任せにするという考えは「甘え」の典型例になるため、対策が必要になります。
自立していない
続いては自立していないのも、甘え型依存不登校の特徴です。
お子さんに期待できる発達段階の行動が、親御さんに依存していないとできなければ、甘え型と捉えてもいいでしょう。
もちろん、お子さん一人ひとりに苦手があるので、親御さんの力を借りなければならないときもありますが、あまりにも一人でできないことが多ければ、自立していないと考えるべきです。
ただ、この自立していない甘えには冒頭部分でお伝えしている愛着障害も関わってくるため、専門家の診断を受けてから行動を起こすほうがいいでしょう。
我慢できない性質がある
またお子さん自身に我慢できないといった性質がある点にも注意が必要です。
我慢できないというのは、とくに自分自身が問題になっているのに、目の前の課題から逃げ出してしまうことを指しています。
たとえば、先ほどの宿題ができていない例もこのうちの1つです。
この逃げ癖は大人になってからも影を落とし、責任を持って取り組むといったことができません。
すると、当然問題が起きたときに逃げてしまい、結局、問題が大きくなることが多々起こります。
仮にお子さんが逃げ癖から不登校になっているのであれば親御さんがそれに気づき、お子さんの問題と向き合わせないと、将来的にお子さんは一生このままになってしまう可能性が高まります。
ナイーブで傷つきやすい
最後はナイーブで傷つきやすい性質から不登校になってしまうといった特徴です。
「自分は何をやってもだめだ」と失敗するたびに思ってしまうのは、お子さんの成長を妨げますし、可能性も狭めてしまいます。
お子さんが生きていく上で失敗は避けては通れませんし、挽回する力も必要です。
そのためには、「失敗しても、いつかはできるようになるんだ!」という自己肯定感を育んでおく必要があります。
もちろん不登校になったあとにすぐ自己肯定感を育てられるわけではないのですが、長期的に見て、甘え型依存の不登校には「やればできる感」を育ててあげるのが有効です。
甘え型依存の不登校に対する対処法
甘え型依存の不登校に対する対処法は「自己肯定感」を高めることですが、その結果に至るまでには様々な方法があります。
具体的な方法をお伝えすると次の通りです。
1. お子さんの考えを受け入れてあげる
2. 自己肯定感をあげる方法を使ってみる
3. 課題解決をした先にどのような未来が待っているかを伝える
それぞれ解説していきます。
お子さんの考えを受け入れてあげる
甘え型依存の不登校に対する対処法の一つ目は、お子さんの考えを、まずは受け入れてあげることです。
たしかにお子さんは大人の親御さんからすると甘えた考えを持っているかもしれませんが、甘えが最終的にどんな結果をもたらすのかの経験がないといった側面も考えなければなりません。
ですから、まずはお子さんの考えも理解してあげて、受け入れるところからスタートしましょう。
自己肯定感をあげる方法を使ってみる
甘えてしまう理由を受け入れると、親御さんになら信頼して話せるといった思いがお子さんのなかに芽生えてきます。
信頼関係が構築されてくれば、次のような方法で自己肯定感を高めていくことが可能です。
● 承認する
● スモールステップで成功体験を積ませる
● 対話をする
さっそく見ていきましょう。
承認する
お子さんの自己肯定感をあげる方法の一つ目は、承認することです。
承
認するとは、お子さんの行動に対し「〇〇できたね」と伝えることを指しています。
褒めるとは違い、あくまで認めることをメインにしてください。
というのも、褒めるは親御さんにとって嬉しいことに対して行う行動であり、承認は一般的に見て、いいことに対して行う行動だからです。
褒めるを連続してしまうと、お子さんのなかの行動の価値判断が親御さんをメインにしてしまうため、語弊はありますが「親御さんが喜ぶかどうかしか判断できない」状態になってしまいます。
ですから、承認することで一般的に良いとされる行動の判断基準を持たせ、お子さんが自ら行動できるようにしていきましょう。
スモールステップで成功体験を積ませる
承認を行いどう行動したらいいのかという判断基準をお子さんに持たせたら、続いてはスモールステップで成功体験を積ませていきましょう。
たとえば、宿題をするといった行動であっても、まずは第1章をお子さん自身の力で解かせて、できたことを承認します。
すると、次は「第2章も自分一人でやれるかも?」と、お子さんは自信を少しずつ取り戻していけます。
対話をする
スモールステップで成功体験を積ませるためには、対話を中心に行っていく必要があります。
「会話」は相手に対して自分の言いたいことを伝えること、「対話」は相手の言葉を受け入れて会話することを指します。
特に体験を積ませるためには親御さんが指導を行わなければならない場面も増えるので、定期的に対話を行いお子さんと信頼関係を築いていく必要があります。
一方で会話中に命令してしまうと、お子さんは反発し行動を止めてしまう恐れがあります。
ですから、家族で会話する時間と、お子さんと対話する時間のメリハリを付けて対応するようにしてください。
課題解決をした先にどのような未来が待っているかを伝える
とはいえ、自己肯定感を高めるための方法を使っても、お子さんはどうしてもモチベーションがわかないといった状態になる場合もあります。
こんなときには、「課題を解決した先にどのような未来が待っているか」を伝えてあげましょう。
たとえば、宿題を終わらせる課題があるのであれば、「宿題が早く終わったらゲームする時間が増えるね!」と気づかせてあげることです。
すると、お子さんは未来の自分に対してポジティブなイメージを持てるようになり、行動ができるようになります。
甘え型依存の不登校に対するNG行動
最後の項目では、甘え型依存の不登校に対するNG行動をお伝えしていきます。
具体的には次の通りです。
● 叱るではなく怒る
● 人格否定をする言葉を投げかける
それぞれ解説します。
叱るではなく怒る
まず大前提にしてほしいのが、怒ってはいけないことです。
たとえば、不登校の状態に対して怒ってしまうと、解決しようのない怒りを親御さんからぶつけられてしまい、お子さんはどうしたらいいかがわからなくなります。
これは、不登校の改善には役立たないと断言できます。
ただ、お子さんのダメな行動に対して叱る当然のことなので、怒ると叱るはきちんと使い分けていきましょう。
人格否定をする言葉を投げかける
続いては人格を否定する言葉を投げかけることです。
不登校になると親御さんも周りの目に対して敏感になり、お子さんについつ、キツイ口調で「なんで学校に行けないの!」と言ってしまう場合があります。
しかし、この感情がヒートアップしてしまい「だから〇〇はダメなのよ」といった人格否定をする言葉を使うのは、絶対にNGです。
もちろんお子さんにやる気を出してもらいたいがために、投げかけた言葉だと思いますが、親御さんから人格否定をされてしまうとお子さんは立ち直れなくなります。
不登校を甘えだけで結論づけるのは絶対NG
不登校は過去には甘えとして結論づけられていたかもしれませんが、昨今では不登校の要因を甘えだけと断言はできません。
もちろん甘えは不登校の要因になりがちです。
ただ、不登校になる原因が悪化するのは、お子さんの甘えではなく、圧倒的に周りの環境によるところが多いです。
ですから、不登校の要因が甘えだけであると考えるのではなく、他の要因がないかどうかもきちんと確認し、対策を考え支援してあげることが重要です。
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